死にたがり屋の人

2001年5月23日
私は海の側のマンションの最上階の非常階段前に住んでいる。
・・・で、時々出会うのだ。死にたがり屋の人と。

非常階段に来る人は様々で、嬉しげなカップルから単に海を眺めにきた人、追いかけっこをしてる子どもなど(うるさいぞ)多種多様である。
その中には当然、ヤバめな雰囲気の人もいる訳で、最近は、それとなく分かるようになってきた。

何度か「これは」と思って玄関のドアを開けた事もある。全員が目を合わすと我に帰ったような表情になるのが印象的であった。
・・・死のうとしている人を引き止める手段は無いと思う。「死ぬ気があるなら何でもできる」?「生きていたらいいことがある」?

・・・どれもこれも生者のキレイ事だろう。
魂の死に体となった人は生きることが何より辛いという事を知っている。そして一瞬の苦しみと引き換えに安楽を得る事が出来ると思ってるのだろうか。

私は「死にたがる人」を体を張って止める気は毛頭無い。
自分の人生を自分で選んで自分で決着をつけるのもよかろう。どうせ今、死ななくてもいつか再び自ら死を選ぶに違いない。ただ、私の目の前で死んで欲しくない、それだけである。

正直、死ぬ勇気を持った人が羨ましい時がある。
・・・人間は、私に限らず死ぬ事ができなくて、ただ生きているだけの所が何処かあると思うので。

少なくとも、私はそう。

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