作者はずっと猫まんがを連載していた漫画家
それゆえ絵がかわいくて興味を引かれた
でもかわいいだけじゃなく、血や交通事故死が当たり前に出てくる
ねこ同士の喧嘩の描き方がリアルで、ねこのこと知ってんなこの人と思う

ねこVS人間
オスVS男
(メスねこも登場するけど)
メインは、オスねこと野郎との男同士の付き合いっつーとこやね

最初は拾ったねこと作者が家族になるまでの楽しいおはなし
作者の極貧っぷりに愛想を尽かし、一度は逃げ出したねこ(オスメス)が
自分の意思で戻ってくる
貧乏でろくな餌がなくても彼の傍に居たいと

やがて段々と近づいてくるクロ(オスねこの名前)の最期
作者は自分のせいでクロの命を縮めたと自戒の念に駆られて男泣きする
作者と一緒に私も泣いた
うっかり会社の休み時間に読んでしまい、号泣して顔が腫れてしまった

本はお勧めですが、人前で読むのはお勧めしません
泣いてしまうので読み返せない
本棚を漁っていたらこの本が出てきた
読み返したら1行だけマーカーでラインが引いてあった

人は思いを胸一杯にもっているときは沈黙するものである
(原文ママ)

大学生だった私は、たまたま同じ二十歳という点で
目に付いたこの本を手に取ったにすぎない
当時の私がなぜこの文章にラインを引いたのか今となってはもうわからない
人は成長し、また衰退する何よりの証

著者の日記を通して感じる堕落したい、でも堕ちきれないゆえの叫び
読んでいると(今思えば)自ら望んで混乱した二十代を思い出して懐かしい
ただ、私は高野さんのように死ぬことはなかった
ご冥福をお祈りする…というよりも新しい命に生まれ変わっていて欲しいとふと思った