猫哀し

2001年9月21日
私はどうも猫だの犬だのに好かれる傾向がある。

今日、帰りの駅でプラットホームに行ったら電車は出たばかり。
やれやれと思って座ろうとしたら…ベンチの座布団の上に猫。

気持ちよさそうに寝ているので起こさないように少し離れて座った。
程なく目を覚ました猫。
伸びをしたかと思うと、近付いてきてじゃれてくる。
…猫が背中にピッタリくっついて暖かいなあと思っていたら、しばらくして「ニャン」と一声鳴いて去っていった。

やがて段々ホームに人が増え始めた。
みんな座布団で寝てる猫を見て驚き、そっと通り過ぎてゆく。…いいなあ、誰もちょっかい出さないし、みんな良い人だ。

そろそろ電車が来る頃にいきなり目を覚ました猫。
何を思ったのか私の方へ一直線に近付いてくる。
ホームにはたくさんの人が居るのに何で私の所へ来るんだー?!

私の足元へきた猫はじゃれてきて、終いに座り込んでしまった。
…そこへ電車がホームへ入ってくる。
乗ろうかどうしようか、でもこの電車に乗らないとバスに乗れないし、あああどうしよう!!!
意を決して立ち上がろうとした私の気配に勘付いたのか、猫は私の顔を見てニャアニャア鳴き出した。
一層、足に纏わりついてくる。

ごめんね、私日本人だから猫語わかんないの。

猫を振り切って電車に乗り、振り返った私が見たもの。
…電車に乗ってこようとする猫。
焦った私は心の中で「ついてきちゃだめ!」と叫んでいた。
通じ合うものがあったのか、猫はピタリと動きを止めた。
それでも、その子は私の顔をじっと見ている。
哀しい目で。

やがてドアが閉まって猫は見えなくなったが、私の中ではその猫の哀しそうな目が焼きついて離れない。

連れて帰ってあげたかったよ。
でもウチのマンション、動物飼育禁止だもの。
気が付くと電車の中で私は我知らず「ごめんなさい、ごめんなさい」と繰り返し呟いていた。

ウチに帰って久々に泣きました。

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