12月28日(土)午後9時25分高松駅発 サンライズ瀬戸東京行き。
8号車 B寝台23番。
これが今回、私が乗るべき列車である。

思えば、旅慣れて来た事もあって油断していたのかなとも思う。
ギリギリまで旅の支度が出来ていなかった今回の私。
いつも寝台に乗る時は、風呂も入って御飯も食べていくのだが、午後6時の段階でまだパジャマを着ているという体(テイ)たらく。

しかもその日のミュージックフェアの出演者は何とC&A。
神様も悪戯好きと言おうか。
結局ボーっとしているうちに30分ムダに過ぎてしまった。
パソコンの電源を落とす前に日記に書き込む。
(それが下の28日の日記です)

午後6時半。
風呂と御飯は一緒に出来ないので、御飯と旅支度を同時進行にて行う。
今回の旅は単なる観光ではないので、持っていくものが特殊だったり。
その特殊品とプラス着替え・化粧品などなどをボストンバッグに入れる。
案の定、ものすごい重さ。自業自得ながら笑ってしまった。

午後7時。
風呂に入る。
のんき気に湯船で歌なんぞ歌う私は、かなりの能天気であった。
曲はもちろんC&Aと言いたいが、実は「ババンババンバンバン♪ 風邪引くなよ!」だったりする。
風呂場の定番ソーング。

午後7時50分。
風呂から出る。
いつもそうなのだが、のぼせ易いくせに長風呂とはこれいかに。
即効で髪を乾かそうとしたが、何せ暑いのでそれもままならず。
それでも何とか乾かし、ちょっと空いた時間でマッサージ機を使おうと部屋の隅から引っ張ってくる。
前日にやった大掃除での筋肉痛が酷くてたまらないため。ババチャン。

午後8時半。
ここでもう一つ、神様の悪戯。
急いで着替えようと思っていると携帯が鳴る。
滅多に聞かないメロディだなと思ってると、しばらくしてそれはメールではなく電話の着メロだと気が付いた。
よく相手も切らなかったもんである。

電話の相手は東京本社の人間。
東京に行くから一緒に飲まないかと誘っていた相手からの返事である。
「どこに居るの?」と言われて「まだ家!」と叫んだ私は相当焦っていた。
しかし相手は私が焦っているのを知ってか知らずか、喋り続けている。

要は答えは「NO」だったのだが、「東京に行ったらアソコやココに行けばいい」と親切丁寧に教えてくれる。
ああ、ありがとう、ありがとう。
行ってみるよと言いながら時計を見る私。……時間が無い!

しようがないので電話をしながらパジャマを脱ぐ。
今まで生きてきて、男と電話しながら服を脱いだのは初めてだ。
脱いでみて初めて気が付いたことは、脱ぐ事は出来ても電話しながら服を着る事は不可能だということだった。
(着る服によるが、用意してた服は無理だったのだ)

寒い部屋で何で裸で電話してるんだろうなあと思ったら情けなくなってきて、電話を半強制的に切らせてもらう。
ふと時計を見ると、午後9時前! こりゃイカン!

脱兎の如く部屋を出て荷物を持つ。
もはや分刻みの戦いである。
母親の「忘れ物無いの」との声が聞こえるが、返事をしてる余裕が無い。
とうとう東京のガイドマップが見当たらなかったが、もういい。
東京で東京のガイドマップを買うっていうのもオツかもしれない。

家を出ると必死に自転車をこぐ。
地下の駐輪場に自転車を放り込み、改札へ向かおうとしたが、翌朝の朝食を買わねばならないことに気が付く。
駅の隣りのスーパーへ走り、何でもいいや…と思ったが、結局色々品定めをしてレジに並んでしまった。
時間が無いっちゅうに。

やっと改札までたどり着く。
見れば改札には列が出来ていたが、ホッとして最後尾に並んだ。
(高松駅には自動改札機はありません)
後ろから見ていると、切符にスタンプを押すたび格好良い駅員さんが
「ありがとうございます。何番線の○○列車に」と案内している。

ああ、やっと私の番と思ったら「ありがとうございます」とだけ。
……何の案内も無し?
言わなくても分かると思ったのかな。
だけど、だけどさあ、言って欲しいじゃない―――――!
分かってくれよ、この女心を(笑)

そんなこんなで無事にサンライズに乗り込んだ。
私の車両は最後尾。
実は、8号車は岡山駅で「サンライズ出雲」と連結する際に結構凄い衝撃が来るのだが、そんな事は今は考えないようにする。

発車のベルが鳴る。
……改札から走ってくるわ、走ってくるわ。人が。
みんな飛び乗ってくる。

その内、ゆっくりと列車は動き出した。
列車が出てその土地を離れる瞬間には、何か妙な感覚に襲われる。
それが哀愁なのか、これから起こる予感なのか(しかし私の予感は当たったためしがない)よく分からないが、鳥肌が立つような不思議な感覚である。

「ひょっとしたら帰ってこられないかもしれない」とか、
「無事に帰ってこられるのか」とか、
色々考えてしまうわけである。

もちろん、そんな事は殆ど有り得ないのだけれど、
もしそんなスリルが無いと保証されているのならば、
人間が何か新たにアクションを起こそうとする気は
半減するだろうなと思ったりもする。

というわけで、旅立ち編でした。
長くなってゴメ―ン。

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