地下鉄で浅草に到着し、駅の出口表示で「雷門」を確認する。
が、多方面の出口に同じ目的地の表示がしてあるのだ。
表示がありすぎて迷うなんて、いかにも堅物な日本らしいなあと妙におかしかった。駅の階段をよいしょと上がる。毎度ながらシンドイ。

また道に迷うかと思ったが、賑やかな雰囲気がおのずと伝わってくる。
それに導かれるように歩き出した。
浅草は東京初心者でも迷わない、ある意味良い名所ですね。

途中「人力車に乗りませんか」とダンディな兄ちゃんに声をかけられる。
一人で乗ってもサマにならないので断ったが、見ているとかなりな人数の方が嬉しそうに乗っているのが目に付いた。

親子(母娘)が多いように見える…というか華やかでいいな。
母娘って結構こういう場面で絵になると思いませんか?

若い娘二人だと今一つ、借り物の人形みたいに見えるし、男が乗ってたりするともう論外だったりするのだが。
母娘だとしっとりとした雰囲気と若さの共演という感じで、見物する分にもいいかもと思った私であった。

歩いていると突如雷門が目の前に出た。
そのままくぐろうとしたが、人がうねっている。
「何でだろう〜何でだろう♪」と思ったら、みんな記念撮影している人を避けて歩いているのであった。
ごめんなさい、一人勝手に無造作に歩いて。

門をくぐると両端、お店がずらっと並ぶ。
店を覗いているとまさに「日本文化の凝縮」だった。
期待していたとおり「神風」「必勝」と書いた土産物が一杯。
欲しい!と思ったが(いや、ホントに思ったんです)狭い自分の部屋にそれを飾った時の違和感を想像してやめた。
ああいうのは外国の洒落た家に飾られてこそ引き立つという物である。

人形焼を親から頼まれていたので店を探す。
食べ物屋さんの種類は「人形焼き」「揚げまんじゅう」「煎餅」にほぼ固定されている感があり、1個からでも売ってくれる「歩き食い」が出来る店では、どの店も列が出来ていた。

しかしその隣りの衣服や衣装小物を売っている店の店頭では「食べながら商品に触らないで下さい」と書いてあったりする。
当たり前の注意事項なのだが「店同士、仲悪いのかなあ」と勘繰ってみたりもしてしまった。

店同士、水面下の戦いを繰り広げている…訳はないですね。
勘繰ってゴメンナサイ。

一通り見てから決めようと思った私は、先に本堂へ参る事にする。
人が一杯。
初詣ではなく、納め詣ってのも粋かもしれない。

お参りが終わるとおみくじを引く。
私はおみくじが大好きである。
お寺と印刷会社がいくら儲ける事になろうと、ついつい引いてしまうんだな、これが。

引こうとしたら、隣りの人がまごまごしているのがわかった。
どうやら異国の御方は引き方が分からないらしい。
そこで串の入っている長い箱を取り上げて、派手に振って見せた。
逆さにして一本串を引き出す。
数字と棚の引出しの数字を合わせて引出しを開け、一枚取って見せた。

私がやってみせると彼女は納得したように同じ事をやり始める。
良かった良かった。言葉はわからなくても(というより私は彼女と喋っていない)何とかなるもんだね。
しかし、書かれている文字を彼女が理解できたかどうかは知らん。

結果は「吉」だった。
ガックリ。もうちょっと良いのを期待していたんだけどなあ。
横にあるおみくじを結ぶ場所でそれを結んでいたら「顔こっち向けて」という声が聞こえた。
見ればおみくじを結んでいる孫娘をおじいちゃんが撮影するらしい。

慌ててその場を離れる。
まったく、おみくじ結ぶのも気を抜けないとは。

参道へ戻った。
お腹が空いてきた私は歩き食いをしようと思い、煎餅を選ぶ。
厚焼き煎餅100円。
うーん、と唸った私は裏に似たような店を発見する。
…50円。

薄焼き煎餅だったが、アツアツで美味い。
だが食べ終わった包紙を捨てようと思っても、ゴミ箱が見当たらん。
結局ポケットに突っ込み、高松まで持って帰ってきてしまった。
(我が家のゴミ箱に捨てた)

とっとと人形焼GETをと思い、一番人だかりの店に行く。
買おうと思った瞬間、背後から「生焼けよ」というご婦人の声を聞く。
歩き食いの為に買ったものが生焼けだったらしい。

早々にその店を離れて他の店に行き、私が言った言葉。
「これ、中身はつぶあんですか?」

うちの母はつぶあんのお菓子しか食べない。
贅沢と思うが、個人の趣向の問題なのでとやかくは言えない。
しかし返ってきた言葉は「いいえ、こしあんです」
……。
結局「あんなし」の人形焼を買って帰ることにした私であった。

浅草を歩いていて気がついたこと。
あの日あの場所に存在した人間の数は、外国人が日本人を上回っていたという事である。
あちらこちらから聞こえる不思議な言葉。

英語でもないので全く意味が分からない。
でも響きが良いなと思う。
日本語も外国の方が聞いたら、耳に心地よく聞こえるのだろうか。
願わくば、聞こえて欲しい。

歩き疲れた私は雷門の西側の柱にもたれていた。
気がつけば、私の右側に外国人がずらっと私のまねをしたのだろうか、同じように休んでいたのが印象的だった。

ここは国際都市「浅草」。
人種が入り混じり、混在しても違和感が無い。
隣りを見て異国の人と目が合っても、それが当たり前だと思えるそんな場所だった。


…ガーン、連載終わらんかった。次で絶対終わらせます。
長くてゴメンよう。

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