さて、翌日。
天気は何とか持ち直したようでヨカッタ、ヨカッタ。
ホテルの高層階の窓から(と言っても28階だけど)梅田が良く見える。

今日は特に予定無し。
本当は行かねばならない所が東大阪にあったのだが
二人して「面倒くさいねー、また今度来た時に行ったらいいじゃん」と
速攻で行くのをやめた。

親子して面倒くさがりと言おうか、だらけてると言おうか。
喝!が必要かもしれない。

朝御飯を食べて部屋でダラダラしてから後、ホテルを出る。
帰りのバスもあの摩訶不思議なホテル5階から出発するので、
フロントにてそれまで荷物を預かってもらう事にした。

母に何が欲しい?と聞くと「食卓で使う醤油入れが欲しい」と言ったので
梅田の大丸へ行く事にする。
以前、大丸で食器やらマグカップやらを買い込んだ事があるので、
今回も行ってみようということになったのだ。

地下鉄御堂筋線に乗る。
切符を買わねばならないのだが、実は私、1月に大阪へ
所用で来ていた事もあって「スルッと関西」を持っていたのだ。

そこで母に「切符買ってきなよ」と言ったら
「うん…」と言ったまま動かない。
どうやら「私に買って来い」と言いたいらしい。

ちょっと考えた私は、単品の切符よりもいいだろうという事で
「スルッと関西」を買い、母親に手渡しながら
「使って余った分は私にちょうだい」と言った。

彼女は「分かった」と言ったが、考えると私がお金を出したものなので
残額は私のものになるのが妥当なんじゃないのか???
(私ってセコイ??)

梅田に着くと早速大丸へ向かう。
大丸はJR大阪駅側にあるのだ。
地下街をドンドン歩いていくと、急に我に返る。
今日は一人ではない。まさかと思って振り返るとちゃんと母は後ろに居た。
ああ、と思って再び歩く。

大丸に入ると食器売場に直行した…が、様子がおかしい。
売場が大幅に変えられ、置かれている物も変わっていた。
結局他の欲しいものも何も無く、ガッカリして大丸を後にする。
お飾りみたいなものだけじゃなくて、もっと実用的なものも置いてよー。

私自身、服が欲しいこともあって阪急に向かう。
大丸と阪急の間に待ち時間の出る歩行者用信号機があるのだが、
以前はよくティッシュ配りをしていてたくさん貰ったものだ。
…しかしその日は誰もいなかった。
ちょっと期待していた私は貧乏人。

阪急に入ると食器売場に行く。
大丸よりは多種の食器類があったのだが、醤油入れはあまり無い。
みんな、こういうのは何でもいいのかな?
入ればいいのか。

余談だが、昔々岡本太郎が作った醤油入れを見たことがあって
子ども心に「欲しいなあ」と思っていた。
正直、今も欲しい!です。でも本気で欲しい時には無いんだよね。

結局、プラスチックのシンプルなものにする。
液漏れがしない!がうたい文句だったが、
帰って来て使っている今、ちゃんと漏れてきてるよ(笑)

母は食器の類を見るのが大好きなので(陶芸を習いたいらしい)
その売場をウロチョロする。
お雛祭りが近い事もあって、春らしいものでイッパイ。

桜模様の食器がたくさんあったが、桜って絵にしやすいと思う。
見栄えもするし、嫌いな人あまりいないし。
そう言う意味では「無難」な題材かもしれない。

それから婦人服売りに移動する。
私が阪急を気に入っている点は、普通の婦人服の売場とは別に
8階(だったかな)に「大きなサイズ・小さなサイズ」として
扱っているブランド全部が集められていることなのだ。

私のように大きなサイズを求めている人間は
そこへ行けば色々なブランドを比較して欲しい服が簡単に見つかる。
合理的でいいっすね。

バーゲンをしていたので女性の群れに混じる。
掘り出し物と言うが、ホントにワゴンの下から掘り出すのだ。
気がついたら隣で母も何やら掘っている。
そこでは私は冬物のセーター(10000→3980円)
母が半袖のVネックプルオーバーを買う。(幾らだったのかは知らん)

バーゲンを終えたので気持ちを一旦沈め、
春物を探しに今度は普通の売場に行く。
23区でベージュのセーターを見つける。(私はセーターが大好きだ)
サイズが合ったので買う。

私が「このサイズでいい」と言うのを
店員さんは「もう一つ下でちょうどいい」と言う。
ホンマかよ、お世辞かよと思ったら、本当に下のサイズでいけた。
疑り深いのも大概にせえという事か。スミマセン。

私は服を買う時はあまり悩まない。
悩み始めると自分の中でどこか気に入ってない所が
あるのだと思って買うのをやめる。

買うのはいいが、気がつくと両手が荷物で塞がってしまった。
これにまだフロントに預けたボストンバッグがあるのによー。
でも自業自得なのでしょうがない。

「両手に花」ならぬ「両手に荷物」でなんばに戻る。
高島屋でバスの車中で食べる晩御飯を買おうという事になったのだが、
よく考えれば阪急の紙袋を持っている私。
いいのだろうか、と思いつつ高島屋に入る。
途中で大丸の袋を提げた御婦人とすれ違った。
ああ、ちょっと安心。

デパチカは人でいっっっっぱい。
あまり人馴れしていない私たちは気分が悪くなってきた。
おまけにさっさと決めればいいものを
母は「あれがいい、これがいい。お父さんの分も」と悩んでいる。

どうして女の買物は長くなるのだろう…等と女の私が言ってはいけない。

高島屋の地下を出たところで、熱気でフラフラになってしまった。
本当は上の階に行きたかったのだが断念する事にする。
…と、ここで仰天事実が発覚した。

私の腕時計がものすごく遅れていたのである。
それも30分以上。
私は携帯電話を持っているものの、滅多に使わない。
使わないという事は時計機能も使わない。
もっぱら腕時計愛好者である。

それが遅れているのだから、もう驚いたの何の。
止まっていた訳でもない。何故なのか原因は今でも不明である。
(今はちゃんと動いている)
だがもし一人旅だったら、間違いなく私はバスに乗り遅れていただろう。
神様も、悪戯はホドホドにして欲しいなあ。

荷物を受け取り、悪いとは思ったが
ロビーで目立たないように荷物の整理を行う。
当日は大安で結婚式が多く、着飾った人が行き交っていた。
そんな中で荷物整理。隠れてやったがゴメンナサイ。

やっとバスに乗る。行きと同じ一番前。
運転手の仕事振りを後ろから拝見してると、プロとは言え上手い。
「ひええっ」と思う所も難なく通る。(当たり前だ)
見てるだけでも飽きないね。

明石海峡大橋を通る時、ちょうどライトアップの真っ最中だった。
案外知られていない事なのだが、明石海峡大橋は毎時0分になると
時報代わりに文字通り「レインボーブリッジ」となる。

バスの中は平穏だったのだが、
SAで休憩の時に一人のおばはんが運転手に何やら文句を言い出した。
よく聞くと「一番後ろの席は暑いので金返せ」とごねているらしい。

アホかー。
おばはんの周りの人はみんな普通に座っているぞ。
空調も普通だし。
運転手も「私の一存で返金は…」と言っている。
そりゃそうだろう。

しかしおばはんはヒートアップし「欠陥バスを作ったのは
お宅の会社の責任でしょ。お金返すぐらいのサービスが無いと。
それか次、タダにしてよ」と言い出した。
ふーん。運転手に言わず、バス会社の上役に言えや。

運転手はますます困り「スタンプ押印なら幾らでもします」と言った。
そのバス会社ではスタンプカードがあって集めると一回タダで乗れる。

おばはん。それを聞いた途端、「あっ!それでもいいわ!」だと。
そして彼女はスタンプを数個押してもらって席に帰ったのだが。

彼女が席に帰ろうとした時、私と目が合ったのだ。
その時の彼女の満面の笑みは悪夢を見そうで、頭から離れない。
結局、ごね得というか、面の皮が厚い者が勝つのか。

まあ亡霊も去って(途中のバス停で降りた)ホッとした私たちは
高松駅に到着し、運転手にお礼を言ってバスを後にしたのであった。

ちなみに帰宅すると午後8時過ぎにもかかわらず、
父親は晩御飯抜きで部屋に居た。
ガスでお茶一つ沸かせない、カップラーメン一つ作れない人なのだが、
お土産の寿司をバクバク食べてる姿を見ていると何か情けなかったなあ。
私が結婚しない理由は、この人にも原因の一端はあるな、とも思う。

そんなこんなで、プチ旅行は幕を閉じたのでありました。
本編おしまい。
 


 
 
 

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