UDON

2006年9月28日 映画
10年以上も昔、学生だった私はある月刊誌を楽しみにしていた。
その雑誌にはさぬきうどんのコラムがあって
書いている人間が電波なのか、読んでもイマイチ要領を得なくて
でもいつのまにか麺通団なんて闇の組織が結成されていたりしていて…
そんでもって毎月、麺通団の活動報告(食べ歩き)が載ってたりして
……。

そう、UDONに出てくる「タウン情報さぬき」の元になった
「タウン情報かがわ」である。
UDONを観ていると、その当時の思い出がいっぱいいっぱい蘇ってきて
すげー青春じゃーん、という映画なのだ。

実は私、UDONが全国上映してるということを知らなかったんである。
恥ずかしながら。
香川県内では、もちろんポスターが貼られまくっていたんだけど
「東京の山手線でUDONの電車が走ってる」と言われて
初めて「うっそーこれって全国?」と気がついたわけで。

映画自体は私にとって半分ノンシィクションのようなものなので
どうしても贔屓目で見てしまうんだな、これが。
想い出は美化されて蘇ってくるもんだし、
過去を懐かしむという行動に悪意が介入する余地はないと思う。
ただキャプテンUDONって浮いて…ない…か?
前半と後半で違う映画みたいだ(笑)

よく描かれた映画だと思う。
ブームで人が押し寄せてた、その弊害もきちんと描いてくれて
松本のあっこちゃん演じるおばさんが
観光客が散らかしたゴミを何気なく拾って帰る場面が一番心に残った。

ブームで恩恵を受けた人は誰だったんだろう。
疲れて閉店した店を2軒ほど知っている。
私の会社にちょくちょく顔を出す営業マンは
「観光客が並んでて昼休みに食べられない」と何度嘆いていたか。
うどん=安いというイメージが出来上がってしまったため
お中元やお歳暮に、県外にはうどんを贈れなくなってしまった。
正直、ごくフツーの香川県民にとって「いいこと」は何も無かったのだ。

ところで、映画には香川県縁(ゆかり)の顔がいっぱい出ていた。
ナンちゃんしかり、松本のあっこちゃんしかり、高畑さんしかり。
で、香助にうどんの出汁を教える坊主頭の大将は
本当にラーメン屋はまんどの森の大将。
(第一回さぬきうどん選手権の優勝者。映画でもずらっと並んで
麺を食べて「これは○○の麺だ!」と当てっこしてたでしょ)
で、観客席でそれを見つめていたメガネかけた天パ気味のおっさんは
タウン情報かがわの元編集長の田尾氏。
(皆から愛称で田尾牛とか社牛とか呼ばれてる。今は大学教授という
エライおっさんになってしまった)

難癖をつけるとしたら。
ユースケサンタマリア氏演じる香助の
「さぬき」のイントネーションがおかしい、変だ!!!!!!!!!!
頭の「さ」にアクセントを置かないで!!!!!!!!!!!!!!!
一本調子で「さぬき」と言ってくれ。
生まれも育ちも香川の設定なのに何でなの。泣くよ。
鈴木京香さん演じる姉ちゃんが一生懸命讃岐弁を話そうとしているのに
救われたが。姉ちゃんありがたいぞ、コースケ。

それ以外は
美味そうにうどん食べるし、親子の情に泣けるし(オヤジ好きだし)
キャプテンUDONは訳分からんかったけどいい映画なのに。
ただ150分はチョト長いね。
隣りの背広オヤジがいびきかいて寝てた。

踊るでよく見られたリンクねたが今回もあった。
この映画の監督作品に「サマータイムマシンブルース」というのが
あるんだが、その中に「松井うどん」ってのが出てくる。
今回の松井と同じ。あまりに些細過ぎてどうでもいいよーな…

最後にこれだけは言わせて欲しい。
宇高連絡船の甲板うどんはまずくない!!美味かった。
「まずくてもソウルフードだから心に残ってる」?
んなわけなかろ。美味いから、今なお鮮明に覚えてるんだよ。
それは感傷などではなく、私たち香川県民が体で覚えた記憶だ。

 
 
 
 

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