気が重い。
週明けから仕事が詰まっている。
しかし、それよりもっと憂鬱なのは上司から来年度の営業計画表の
作成を手伝って欲しいといわれたからだ。
私の仕事は専ら数字が相手で、原価や損益などをパチパチ計算している
から特に苦というわけではないのだが。
(もちろん、そろばん弾いての手作業ではありません)

ただその上司というのがナー…
私が入社した時には、彼はまだ管理職でもなくて
ペーペーに毛が生えたような存在だった。
で、会ってニ、三日経ったぐらいだったろうか、
彼にいきなり話し掛けられた。
「(自分は)智賀さんの頼みを聞くつもりはないから」
はあ?となった私にさらに彼は畳み掛けた。
「仕事上でギブアンドテイクが出来ないから、
あんたの頼みは一切聞くつもりは無い。
その代わり、こちらからも頼み事は絶対しないからそのつもりで」

こちらから手伝って欲しいと言った覚えは無いし唖然としたが、
「わかりました」と答えた記憶がある。
その時の彼は支店長となり、ついに私の直属の上司になった。
そして出てきたセリフが冒頭の「手伝って欲しい」なのだ。
ニコニコしている彼を見ていると
多分、自分の言ったことはすっかり忘れているのだろう。
人間は自分自身に都合よく出来ている生き物なのだ。
ちなみに私から彼に頼み事をしたことは未だかつてない。

いっそのこと、でたらめな数字を挙げてみようかと思う自分がいる。
彼が「これはおかしい」と思うならそれでよし、
何も思わなくてそのまま幹部のいる会議で発表するならそれもよし。
…とは書いていても、多分裏付け資料と一緒にちゃんとした数字を
渡すんだろうなとは思う。このお人よしめが。

彼が私に頭を下げた。
でも、そのおかげで給料も上がらないのに仕事が増えた。
心理的に勝って、肉体的に負けたのか?
悔しいので、さっさと仕上げて残業ナシのアフター5で
ケーキを買い食いしちゃる。モンブラン、モンブラン。
 
 
 
 
 
 
 

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